「魚のウェットフード=ストルバイト結石の原因」って本当?

「魚のウェットフード=ストルバイト結石の原因」って本当?

最近SNSで、次のような投稿を目にしました。

📣「魚素材のウェットフードを与えると、ストルバイト結石になりやすい」
📣「ウェットフードは1回あたりスプーン1杯までにした方がいい」

こうした情報を見て、不安になった飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。

そこでまず結論からお伝えすると、
「魚素材のウェットフードそのものが、ストルバイト結石や腎臓病の直接的な原因になる」と断定できる科学的根拠は、現時点では確認されていません。

猫ちゃんわんちゃんの尿石症や腎臓病は、特定の食材ひとつで決まるものではなく、フード全体の栄養設計や水分摂取量、体質や生活環境など、複数の要因が関わると考えられています。


この記事では、

 ✅ ストルバイトと食事の関係
 ✅ 魚素材のフードが誤解されやすい理由
 ✅ 飼い主さんが本当に確認すべきポイント

について、獣医療・栄養学の一般的な知見をもとに整理していきます。

SNSの情報に振り回されすぎず、「今、専門家の間ではどう捉えられているのか」を一緒に確認していきましょう。


ストルバイト結石って、そもそも何?

ストルバイト結石は、リン酸アンモニウムマグネシウムという成分からなる尿路結石です。

猫ちゃんわんちゃんでストルバイト結石ができやすくなる主な要因として、一般的に挙げられているのは以下の通りです。

 💧 尿pHがアルカリ側に傾くこと
 💧 尿中のミネラル(マグネシウム・リンなど)が過飽和になること
 💧 水分摂取量が少なく、尿が濃くなること
 💧 個体差や体質、排尿(おトイレ)環境

(※わんちゃんでは細菌感染が関与するケースもあります)

重要なのは、ストルバイト結石は「単一の食材」で起こる病気ではなく、複数の要因が重なって生じるという点です。


魚素材のフードは危ないの?

今回、一部SNSで見受けられた「魚=ストルバイト結石の原因」という言い切りは、現時点の獣医療(論文等)・栄養学の一般的な見解では支持されていません。


ストルバイト結石との関連で重要視されるのは、

 ❗️ フード全体のミネラルバランス
 ❗️ 尿pHを考慮した設計かどうか
 ❗️ 水分摂取量を確保できているか

であり、魚か肉かという原材料名そのものではありません。

実際、市販の総合栄養食や療法食には栄養基準があり、魚を主原料とした尿路ケアフードやストルバイト結石対応フードも流通しています。

これは「魚が万能」という意味ではありませんが、少なくとも魚素材であること自体が尿石形成の直接原因と考えられているわけではない、ということは押さえておきたいポイントです。


ウェットフードとストルバイト結石の関係

ウェットフードは水分含有量が高い(約75%程度)ため、

 💡 尿量を増やす
 💡 尿を薄める

という点で、ストルバイト結石を含む尿石症の再発リスクを下げる方向に働く可能性があると解説している獣医師向け・飼い主向け資料は複数あります。


そのため、「ウェットフード=危険」「ウェットは極端に制限すべき」という考え方は、現在の一般的な獣医療の整理とは異なります。


誤解の元になりやすいポイント

🐟 青魚・海藻・鰹節の注意喚起について

一部の記事や解説で、

 ・青魚
 ・海藻
 ・鰹節

などが「ストルバイト結石になりやすい猫ちゃんわんちゃんには注意」とされることがあります。


これは主に、自家製食やトッピング、おやつとして、ミネラル量の多い食材を大量・継続的に与えた場合を想定した話です。
市販の総合栄養食ウェットフード全般を指して「魚は危険」としているわけではありません。

一部のケースが切り取られ、「魚=全部ダメ」という極端な解釈にすり替わってしまっている可能性があります。
この思い込みで、魚特有の「オメガ3脂肪酸」(皮膚・関節の健康サポート、心臓を守る効果など)を上手に取り入れるチャンスを逃してしまうのは、もったいないと思いませんか?

 

🥄「ウェットフードはスプーン1杯まで」というウワサ

注意喚起のSNS投稿では、「ウェットフードは1回あたりスプーン1杯を限度に」という投稿も見かけることがあります。


ウェットフードの適量は、

 ・猫ちゃんの体重
 ・年齢
 ・活動量
 ・1日の総カロリー必要量

をもとに判断するもので、「1回スプーン1杯まで」という一律の基準を示す根拠となる報告は見当たりません。

また、スプーン1杯程度では水分補給としても不足していることが多く、尿路の健康維持という観点からは逆効果になる可能性もあります。

量が多いかどうかは一律に決められるものではなく、その子に必要な総カロリー量と栄養バランスをもとに考える必要があります。


子猫期の食経験について

「子猫の頃に食べたものが一生の食事になる。(だから魚はNG)」といった内容も同時に見かけましたので、この点についても少し整理をしておきます。

現時点では、社会化期(子猫期)の食経験が、将来の嗜好やフードの受容性に影響しうるとする臨床家の解説は複数あります。
一方で、「特定の素材を食べたかどうかで一生の食事が決まる」とまで断定できる明確な証拠があるわけではありません。

また前述のとおり、ストルバイト結石との関係で重要なのは、魚か肉かといった素材そのものではなく、栄養やミネラルバランスの偏りや、水分摂取不足によって尿が濃くなることと考えられています。

そのため、誤解を含んだ情報をもとに特定の素材を過度に避けるよりも、

 ✔️ 栄養基準を満たした総合栄養食を基本に選ぶこと
 ✔️ 将来、病気や体調変化で食事管理が必要になった場合に選択肢を狭めないよう、適切な範囲で多様な食経験を持たせること

といったバランスの取れた考え方が現実的です。


腎臓病と魚の関係について

なお、慢性腎臓病(CKD)についても、魚そのものがCKDの原因になるという直接的な証拠は確認されていません

ただし、CKDの管理においては、魚・肉に限らず「高リン・高たんぱくになりすぎないよう、食事設計全般に注意が必要」とされています。

ここでも重要なのは、原材料の種類ではなく、フード全体の栄養設計です。


ストルバイト結石予防で本当に見るべき3つのポイント

① 水分摂取量

 💡 ウェットフードやスープの活用
 💡 飲水環境の工夫(複数の水飲み場、清潔な水)

② 尿pHとミネラルバランス

 💡 尿路ケア設計のフード
 💡 自己判断でのサプリ追加は避ける

③ 生活・排尿環境

 💡 我慢させないトイレ配置
 💡 多頭飼育ではトイレ数に配慮

予防の観点でも「魚か肉か」より、「どんな設計のフードを、どんな環境で与えているか」が重要です。


まとめ:ウワサに惑わされず「判断の軸」を間違えない

 ⭐️「魚系ウェット=すぐにストルバイト結石になる」という単純な因果関係は、現時点の獣医療・栄養学の一般的な知見では支持されていません。

 ⭐️ フード選びでは、原材料だけで良し悪しを決めるのではなく、ミネラルバランスや尿pHを含む栄養設計、水分摂取量、生活環境まで含めて総合的に見ることが大切です。

 ⭐️ すでに尿路トラブルや腎臓病の既往歴がある猫ちゃん・わんちゃんについては、必ずかかりつけ医と相談したうえでフードを選ぶことが基本になります。

不安を煽る情報ほど、いったん立ち止まって
「今の獣医療では、どのように整理されているのか」
「専門家の間では、何が共通認識になっているのか」
を確認することが、結果的に愛猫・愛犬の健康を守る近道になります。

そして、SNSの情報に触れたときは、

 ⚠️ どんな立場の人が発信しているのか
 ⚠️ 専門的な知見や臨床経験をもとにしているのか
 ⚠️ その業界の専門家達はどのような判断をしているのか

といった視点を持ちながら、冷静に情報を受け取ることが大切です。

私たち Paw’s Green Deli は、ウワサに振り回されず、根拠ある情報をもとに愛猫・愛犬の食事を考えたい飼い主さんを全力でサポートします。

気になることや、分からないことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。


この記事のポイント

✅ 魚素材のウェットフード自体がストルバイト結石の直接原因とは言えない
✅ ウェットフードは水分補給に有効で、尿石症予防に役立つ可能性がある
✅ ストルバイト結石予防で重要なのは、フード全体の設計とミネラルバランス
✅ 「魚か肉か」より「水分・尿pH・生活環境」を総合的に見る
✅ 不安なときは、獣医師さんに相談を


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